トランス脂肪酸の効果

アメリカでトランス脂肪酸の有毒性が問題視されるようになったのは、 一九九〇年代の前半。しかし、 一九九四年に消費者擁護科学センターなどが、その使用の有無を食品ラベルに表示するよう訴えたときには、まだ有毒性、有害量の決定的な証拠が提出できていないことを理由に要望は退けられています。そこには、パン、製菓、揚げもの、そしてマーガリンやショートニングなどの食品製造、外食業界で広くトランス脂肪酸のオイルが常用されており、その性急な切り替えを躊躇したという背景がありました。しかし、 一九九九年に多くの研究結果が出そろうと、アメリカのFDA (食品医薬品局)もそれを認めざるをえず、二〇〇三年に数年の猶予をもたせるというかたちで含有量の表示を義務づけたのです(二〇〇六年一月から実施)。こうした動きは、ほぼ時を同じくしてヨーロッパでも起きています。取り残されているのは、発展途上国と日本だけです。薬害エイズの場合もそうでしたが、日本の厚生労働省も当然こうした海外での動きは知っているはずです。知っているにもかかわらず、国民から声が上がらないかぎり、自ら改善しようとはしないのです。

 

日本では、いまでも大部分の加工食品、外食産業でトランス脂肪酸がごく当たり前のように使われています。市販されているマーガリンやショートニングは完全なトランス脂肪酸ですし、植物オイルのほとんどもそうです。それだけではありません。パンやお菓子類、サラダのドレッシングにもトランス脂肪酸が使われているのです。トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やすと同時に、人間の体に必要な善玉コレステロールを低下させることがわかっています。最近では、トランス脂肪酸は、脳の血管にも悪影響を与え、アルツハイマー病やパーキンソン病などを誘発するという報告もなされています。では、どうすればいいのでしょう。

 

もつとも大切なのは、日本人が自ら声を上げ、改善を国に訴えることです。そして同時に、トランス脂肪酸の入っていない製品を選んで使用することです。現在トランス脂肪酸のリスクがもっとも軽減されるオイルとされているのは、ヘキサンなどの水素添加溶剤を使用しない方法で抽出された「キャノーラ油(菜種油と「大豆油」、そして「オリーブオイル」です。欧米ではトランス脂肪酸を含まない新製法のマーガリンが販売されていますが、日本にはそうしたものはまだないようなので、マーガリンやショートニングを使っている製品は使用を避けるべきです。バターはマーガリンほど有害ではありませんが、やはリトランス脂肪酸を含んでいるので、使用は極力避けることをお勧めします。また、ビタミンEの摂取がトランス脂肪酸の害を防ぐこともわかってきています。ビタミンEはサプリメントで摂ってもいいのですが、メーカーによつては薬剤を使ってビタミンの抽出が行われているものもあるので、信頼できないメーカーのものは避けてください。サプリメントに限らずとも、緑黄色野菜やゴマ、アーモンドやピーナッツなどナッツ類、豆類にはナチュラルな状態のビタミンEが豊富に含まれているので、油ものを食べるときには、そうしたものをいっしょに摂るようにすれば、トランス脂肪酸の害を大きく軽減させることができます。


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